インタビューホームスクール

「親も一緒に楽しんで学ぶ」北本家が学校ではなくホームスクールを選んだ理由

「un-control」最初の記事でお邪魔したのは、北本さん一家。北本さん一家は、お父さんとお母さん、そしてりなちゃん、きんたろうくん、はなちゃんの5人家族。

下の2人のお子さんであるきんたろうくんと、はなちゃんは、学校に行かず家で学ぶホームスクールリングをしている。

ホームスクーリングというと、お母さんがさぞみっちり勉強を教えているんだろうなと思いきや…

「私、子どもたちに何にも教えていないんですよ」

と話す北本さん。

「親として上から子どもたちに教えようとするのではなく、子どもたちの下にいて一緒に世界を見上げる存在でいたいんです」

そんな北本さんと「型にはめず、その子の良さを伸ばすこと」について、じっくり話し合ってきました。

(撮影:佐久本 奈緒

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子どもたちの個性をのばすにはどうしたらいいんだろう


そもそもホームスクーリングをはじめようと思ったきっかけはなんですか?


長男のきんちゃんが2年生のとき、「学校に行きたくない」と言い始めたんです。学校の勉強はみんな同じペースで進んでいきますが、本人はそれがつらかったみたいで。「もっとどんどん自分の好きなことを学びたいから、学校行かずに家で勉強したい」と言ってきたんです。


きんちゃん、かっこいい。学校に行きたくないなって思っても、他の方法を思いついたり、実践したりできる子って、あんまりいないですよね。


言われたときはすごく悩みました。でも、もともと私のなかでも、この子の居場所は学校でいいのかなっていう迷いがあったんです。

きんちゃんは小さい頃から「もっと学びたい」という気持ちが強くて。本人の希望で保育園のときから塾に行っていたんですよね。

だから「もう自分の好きなことを、好きなように勉強していいよ」っていう気持ちはありましたし、否定することで、この子の個性が消えちゃうのは不安だと思ったんです。


なるほど。一番下の娘さんのはなちゃんは、なんでホームスクールをはじめたんですか?


はなには「場面緘黙」という症状があり、家などの安心できる場所で家族と話すことはできても、幼稚園などの外では友達や先生と話すことが難しかったんですね。

注目があつまる場面だと体が硬直してしまうほど緊張してしまうこともあって。

小学校に行って極度の緊張のなかで過ごすよりは、家という安心できる環境でこの子のペースで勉強したほうがいいのではないかと考え、ホームスクールをはじめました。


学校に行かないことを不安に思う親御さんは多いのかなと思うのですが、北本さんはどうでしたか?


うーん。でも、この子たちにあわない環境で勉強しつづけることで、個性が消えてしまうほうが不安だったかもしれないですね。

もっと勉強をしたいきんちゃんと、学校では学ぶことが難しいはな。2人を見ていると、家でホームスクールをするという選択肢がこの子たちには、あっているんじゃないかなって思ったんです。

逆に、長女の教育には少し迷いがあるんですよね。


どんな迷いですか?


りなは、絵がすごく好きで、将来は絵を描くことを仕事にしたいと本人は思っているんです。


上手すぎる…。描くものが個性的で面白いですね。


でも、学校の学習で評価されることは「絵がうまい」といった個性への評価ではなくて。

私は成績を見ると「もっとりなのいいところが認められたらいいな」って思っちゃうんです。でも、学校で認めてもらうためには勉強もがんばらなくてはいけない。システムのなかで認めてもらうことを頑張るのか、個性を大切にするのか…そこは今でも葛藤ですね。

知りたければ、自分で自分の先生を見つけてくる


ホームスクールのことを初めて伺ったとき、「家で過ごしていると、関わる人が限られてしまうのかな」なんていう疑問もあったんです。

でもある時、きんちゃんが自分で、学びたいことを教えてくれる先生を見つけにいって「MY先生リスト」つくっているというのを知って。

きんちゃんが学んでいる先生の紹介サイト:Sumire School

それからは「知りたい」という気持ちさえあれば、どんな場所であっても、世界はどんどん広がっていくんだなって思うようになったんです。


ホームページの更新が楽しくなかったらしく、今は更新をストップしているのですが、現在も基本的には、学びたいことを教えてくれる先生は自分で見つけに行くというスタイルですね。


そのスタイル、本当に面白いですよね。

ねえねえ、きんちゃん。最近はどんな先生に教わってるの?


田森先生かな。超変わっていて面白い先生なんだよね。数学と物理が天才的なんだけど、漢字は書けないんだって!


最近は先生とどんなことしたの?


この前は関数の問題。


問題見てもいい?


いいよ。

 
ほう。私には、全然わからないな(笑)


僕も、それ理解に時間がかかったもん。


この問題は、アインシュタインが4年生のときに、知人のおじさんが出してくれたものらしくて。「きんちゃんも同じ年にこの問題に出会うのは素敵でしょ」って田森先生が教えてくれたんだよね。


なんと…センスがよすぎる。


あとは、今作ってるゲームの構想に必要な化学とかは自分で勉強してるよ。


ゲームつくってるの!?っていうか構想に化学が必要ってどんなゲームなの!??


こういうのは、はじめてあった人に熱く語るものでもないから!(笑)


きんちゃんはすごくゲームが好きで。1日中ゲームをしたり、ゲームの本を読んだりしてるんです。今は、自分でゲームを作ろうと、ノートに自分で思い描いているシナリオやキャラクターをどんどん書き出しているみたいです。


え、見たい…


いや、恥ずかしいから!!


見せてもいいところだけ見せてあげたらどう?


ちょっとだけね。


おお~!!


ステージが「草と地」「森と水」「鉄と電気」とかいろいろ分かれてるんだよね。

プロジェクトの詳細はこちら:息子の世界観がすごかった|ホームスクールでRPG作りプロジェクト


なんだか元素記号なども使って、構想しているみたいなんです。水のエリアにいくためには水素と酸素をゲットしなくてはいけない、とか。


もうC♯で作り始めてるよ。


C♯??

プログラミングを勉強してゲームを作ってるみたいなんです。私には難しくて入りこめないですけど(笑)

きんちゃんだけじゃなくて、我が家の子どもたちは本当にすごいなあって思っていて。さっきは、長女りなの絵を紹介したと思うんですが、末っ子のはなは詩がすごくて。

 

ママも考えてみてって言われるんですけど、「全然できない!」って。すごく短い詩なんですけど、大人になってやってごらんって言われても、なかなかはなみたいに素敵にはできないんです。今は、一緒に詩集をつくろうね、っていう話をしてます。

知識だけを教え込むのではなく、体感として経験を積んでほしい


私、ホームスクールって日々どんなことをやっているかすごく興味あるんですよ。この前ブログで書かれていたパソコンの分解も本当に楽しそうでした!

当日の様子はこちらから:PCを解体する|ホームスクール


あとから「感電するから危ないよ」ってたくさんの人に注意されたんですよね…


そうだったんですね(笑)でも、あれを見てホームスクールって楽しそう!と思いました。子どもたちは、やりたいことを好奇心のままに見つけてくるんですか?


ホームスクールにもいろいろなかたちがあるのですが、私は「これやれば?」と子どもたちにあまり言わず自主性にまかせる「アンスクーリング」のスタイルをとっているんです。そうすると本当に暇みたいで(笑)やりたいことを自分たちでどんどん見つけてくるんですよね。


北本さんは一緒にやるんですか?


楽しそうだったら、私も参加します。「ママもやりたい!」って。


私は一緒にいると、何かを伸ばしてあげなきゃ、学ばせなきゃって絶対思っちゃう気がするんですよね。


でも、子どもたちはどんどん自分で気付いていくんですよ。この前みんなで料理をしたときも、ガスコンロの火と、落ち葉集めて燃やした火と、炭で起こした火の色が違うっていうことに子どもたちが気づいて。

「落ち葉の色は真っ赤なのに、ガスコンロの火は青なんだね」

「ガスコンロのジャックによってまた色が違うのかな」

「炭だとすごい煙が出るけど、コンロだと煙でないよね」

とか、いろんな話をしました。


よく考えると、なんでなんだろう…


「なんか不思議だね」という経験として残しておくと、いつか科学の勉強をしたときに「こういうことか!」って腑に落ちる気がするんです。そうやって経験と知識がつながっていく種を今の時期に見つけてあげられるのがいいのかなって。


授業で知識だけ習っても、それが何に生きてくるかよくわからないですよね。


体感として知識が子どもたちの頭に入っていって、いつか点で結ばれていく――それがいちばん理想です。探求心の種が家庭にもたくさん転がっているから。

上から親が指導するのではなく、下から子どもと一緒に世界を見る


体感したあとに、私だったら科学の本とかを差し出して「どうしてこうなるか考えてみなよ」って深く学ばせようとしちゃう気もするんですよね。北本さんは、そういう介入はしないんですか?


うーん。きんちゃんは、そうやって問いかけたら興味もつかも。でも、はなはあんまり興味もたないかなあ。

結局、そこから何を学ぶか、そのあとどうするかって、その子によって違うんじゃないかなと思います。


じゃあ「何をどこまで理解を促していくか」を、あらかじめ北本さんのなかでは決めてないということでしょうか?


たしかに…決めてないですね。私が教えられることって限られているから。そこから先が知りたかったら、自分で調べていくだろうし。それ以上知りたくなければ、私が教えても頭に入らないと思うので。

私は自分で教えないんですよ。教えてしまうと、私の知識の範囲でしか子どもが育たないと思うから。だから親として上から子どもたちを指導するんじゃなくて、子どもたちの下にいて一緒に世界を見上げる存在でいたいなと思います。


あとは、何事も自由にというと、「子どもがなにやったらいいか分からなくなっちゃいそう」とか、「興味が広がればいいけど、漫画を読んで寝て終わっちゃうんじゃないかな」といった不安もあると思うんです。


それは、私も最初のころは心配でした。規制をしていないから、ゲームばっかりしたり、アニメばっかり見ていたり…そういう子どもたちの様子を見てると「今って何の時間だろう」って心配は心配だったんです。

でもふとしたときに、はなが「なんでそんな言葉知ってるの?」っていうことわざや慣用句を使って話すことがあって。聞いたら「アニメで〇〇が言ってた」って。

それを聞いたときに、「ああ、無駄なものってないんだな」と思えたんですよね。小さなことが積み重なって子どもたちの世界がどんどん広がていってるのが分かるから。だから自由にアニメを見ててもいいのかなって。

親も一緒に楽しんで学ぶことが一番の教育


学ぶ内容は子どもたちが自由に選んでいるということだったのですが、北本さんが「ここだけはサポートしている」みたいなところはありますか?


うーん。ないですね(笑)本当に一緒にいるだけって感じですね。でも、私も知らないことが多いから、「なんでだろうね」って言って一緒に調べたりすることは、けっこうあります。

あ。この前調べていてすごく面白かったことがあって!いまだに石のお金がある島があるって知ってますか?


石のお金?


ヤップ島っていうそうです。世界で唯一の石のお金を使っている島。日常的に使っているわけではないそうなんですが、お祝い事で送りあうそうです。

その島で、それぞれの石の価値がどうやって決まるか知ってますか?


重さ?いや、輝き!丸さ…うーん、鉱物の含有量…?


ふふ(笑)実は、石の価値は「その島まで石がどうやって運ばれてきたか」で決まるらしいんですよ。過酷であればあるほど、価値が高まるそうです。


それだと「こんな苦労したぜ!」って語れる人はお得ですね!


ヤップ島の話から「お金って貝のときもあったらしいよ!どんどん形が変わっていってるんだね。紙やコインになって…今はなんだろう。あ、数字だね。支払いも電子マネーだし、銀行の通帳も数字だよね」って話をして。

その時に、「実際にビットコインを買ってみよう!」と子どもたちと話し合って買いました。運よく値上がりしたので、今日ちょうどきんちゃんが自分の部屋にスーパーファミコン用のテレビを買ったんですよ(笑)

そんなふうに親も一緒に楽しんで学んだり、なるべく外に連れ出していろいろな人と会う機会をつくったり。それが親ができることなのかなと思っています。


北本家はお子さんひとりひとりが好きなものに向き合って生き生きしているだけでなく、北本さん自身がそんなお子さんと過ごすことを楽しまれている様子が本当に素敵だなと思いました。今日はありがとうございました。

 

-un-controlの記事の更新はこちらからおしらおしらせいたします。

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北本貴子さん

ラナンキュラス株式会社 代表取締役 NPO法人日本ホームスクール支援協会 理事 教育者と子供たちを1対1でマッチングするサイト「みらいの学校」を運営。 その他に教育事業者と家庭を結ぶセールスプロモーション業務や、教育イベント関連の企画運営コンサルティングを行う傍ら、本年、NPO法人日本ホームスクール支援協会の理事としての活動もスタート。実生活では3児の子育て中で下の2人をホームスクールで育てている。

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